座標と時刻
J2000とJNowは何が違う? 歳差と章動を理解する
まず知っておきたいこと
J2000は、2000年1月1日12時TTを基準とする元期で、座標の文脈では当時の平均赤道・春分点の向きも表します。JNowは対象日付の座標を指す実用的な呼び名です。地軸の歳差と章動で、網の向きが変わります。Apphemerideの太陽・月・惑星のページで比較できます。
地軸は、ずっと同じ方向ではない
地球は完全な球ではなく、赤道付近が少し膨らんでいます。太陽と月の重力がその膨らみに作用し、傾いたこまのように、地軸の方向がゆっくり変わります。これが**歳差**です。
地軸の大きな一巡は約2万5800年です。天の極と赤道、春分点が動き、春分点は黄道に沿って年約50.3″ずつ西へ移ります。短い年月では小さくても、望遠鏡の視野や精密な位置の比較には無視できません。
約2000年では春分点の位置は約28°移動します。古い時代の星座と春分点の関係が今と違うのは、このためです。北極星も永遠の極星ではなく、約1万2000年後にはベガが北の極に近い役割を担う時期になります。ただし現在の北極星と同じ近さになるという意味ではありません。
章動は、小さな周期的な揺らぎ
歳差に重なる、より小さく周期的な変化が**章動**です。主に月や太陽の重力、月の軌道面の変化などが関係します。
主要な項の周期は約18.6年で、黄経方向に約17″、地軸の傾きに約9″規模の振幅があります。さらに短い周期の小さな項も含まれます。秒角単位の位置を扱うなら、長期の歳差だけでなく、この揺らぎも考慮します。
元期、分点、JNowを分けて読む
- J2000.0という時刻は、ユリウス日2451545.0、2000年1月1日12時TTです。
- J2000の赤道・分点は、その時刻の平均的な座標軸の向きを指定します。位置の元期が別の時刻という資料もあるため、同じ概念とは限りません。
- JNowは、対象日付の座標を指す呼び方です。厳密に一つの国際標準座標系名を表すわけではなく、平均座標か真の座標か、どの補正を含むかを確認します。
- 視位置では、目的に応じて光行差、光行時間、固有運動なども扱います。観測地中心なら視差、地平線付近の見え方なら大気差も別に関係します。
年周光行差は最大約20.5″です。歳差による赤経・赤緯の変化量は天体の方向で違い、「全恒星が毎年同じだけずれる」という一律の値ではありません。天の極付近では、赤経の時間表示が大きく変化する場合があります。
何をするとき、どの基準が必要か
| 作業 | 確認すること |
|---|---|
| 星表の恒星を調べる | 星表の基準系、分点、位置の元期 |
| 星図帳と照合する | 星図帳と表示の基準を合わせる |
| 望遠鏡の制御へ入力する | J2000か対象日付か、制御側の変換仕様 |
| 子午線通過や掩蔽を精密に扱う | 日付に対応する視位置、観測地、時間尺度 |
JNowを期待する制御装置へ、変換せずJ2000の値を渡すと、対象が視野の中心からずれることがあります。肉眼では小さな違いでも、高倍率の狭い視野や精密な時刻では重要です。機材の説明に合わせ、同じ基準同士を比較しましょう。
Apphemerideで確かめるには
Apphemerideで確かめるには
太陽、月、惑星の赤道座標カードでJ2000とJNowを並べて確認できます。補正のカードには、章動、光行差、歳差、FK5、大気差などがあり、差の行列では赤経・赤緯と黄経・黄緯の基準による違いを比較できます。
恒星ページは、対象日付の位置を、固有運動や歳差などを反映して表示します。星図のグリッドは日付の真の座標系です。太陽と月の基本カードは無料、惑星と恒星は完全版で利用でき、3日間の無料体験があります。補正を含む天体ページをご覧ください。
よくある質問
J2000と書かれた座標は、何を基準にしていますか?
通常はJ2000の平均赤道と春分点の向きに基づきます。J2000.0という時刻は2000年1月1日12時TTです。恒星位置そのものの元期と、座標軸の基準は、資料で別々に指定される場合があります。
J2000とJNowの差は、どのくらいですか?
経過年数と天体の方向、含める補正で変わります。春分点の歳差は年約50.3″ですが、それが全恒星の赤経や赤緯へ同じ量で現れるわけではありません。アプリの対応する天体で、実際の差を確認できます。
歳差と章動は何が違いますか?
歳差は約2万5800年規模の長期的な地軸の向きの変化、章動はそれに重なる小さな周期変化です。主要な章動項は約18.6年です。精密な座標では、両方を扱います。
北極星は、ずっと北極星ですか?
いいえ。天の北極は歳差で背景の恒星に対して動きます。長い年月では、極に近い恒星が入れ替わります。ベガが近い役割を持つ時期もありますが、今の北極星と同じ条件にはなりません。