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座標と時刻

ユリウス日とΔTとは? 天文学が使う時間の基準

まず知っておきたいこと

ユリウス日〈JD〉は、一定の起点から日を連続した数で表す仕組みです。ΔTは、一様な地球時TTと、地球の回転に基づくUT1との差です。暦の表示と、位置や影を計算するための時間は同じ役割ではありません。Apphemerideは、こうした時間尺度を内部で扱います。

日を連続した数で表す理由

日常の暦には、長さの違う月、うるう年、改暦があります。1582年にグレゴリオ暦を導入した地域では日付が飛びましたが、改暦の時期は地域によって異なります。古い観測同士の間隔を考えるとき、暦の日付だけでは扱いにくくなります。

連続した日数の起点として使うのが、ユリウス暦の紀元前4713年1月1日正午です。スカリゲルの16世紀の提案に由来し、月や年の境界をまたいでも数は途切れません。ユリウス日と、ユリウス暦そのものは別の仕組みです。

代表的な基準は、次のとおりです。

基準の瞬間連続日数
2000年1月1日12時TT〈J2000.0〉JD 2451545.0
2025年1月1日0時UTJD 2460676.5

大きな数字を扱いやすくする修正ユリウス日〈MJD〉もあり、後者の瞬間はMJD 60676.0です。これは一般的な定義の基準例で、観測地点の今日の値を提供する表ではありません。

小数部分と、時間尺度

ユリウス日は、整数と小数で表します。整数は経過した日の数、小数はその時間尺度における一日の中の位置に対応します。JDの整数になる境界は正午で、半整数は真夜中に当たります。

ただし、TTのJDならTTの正午、UTのJDならUTの正午です。「すべてUTCの12時」と読み替えてはいけません。MJDは真夜中を境界とするため、JDとは日付の区切りも異なります。

同じ瞬間のJDでも、TT、UT1など、どの尺度で表したかによって値が少し違います。日数が連続していることと、異なる時間尺度を混ぜてよいことは別です。精密なソフトウェアは、目的に応じて区別します。

正午を境界にする歴史的な理由は、夜間の観測を途中で区切りにくくするためでした。ただし世界中の地方時の正午へ合わせた仕組みではありません。日本の一晩が、常に同じユリウス日の整数部分に収まるという意味ではないことにも注意します。

ΔTと、地球の不規則な回転

地球の回転は完全に一様ではありません。長期的には月との潮汐作用による減速があり、地球内部、海、大気などによる変動も重なります。

**地球時〈TT〉は、一様な時間尺度で、国際原子時TAIより正確に32.184秒進みます。UT1**は、地球の実際の回転角を表す時間です。ΔTは、TTがUT1よりどれだけ進んでいるかを示す差です。

値は時代によって変わり、固定の「いつも約何秒」ではありません。歴史的な値には古い食の記録などから推定する不確かさがあり、遠い未来の自転も完全には予測できません。ΔT、TTとUTCの差、UT1とUTCの差は、別々の量です。

1972年からのUTCでは、うるう秒を使ってUT1との差を小さく抑える制度が使われてきました。2026年の国際度量衡総会の決議では、2027年5月20日から連続的なUTCへ移り、UT1との差の上限を3600秒とすることが決まりました。過去の時刻には、その当時に適用されたうるう秒の履歴が必要です。制度の変更が、地球の自転を急に変えるわけではありません。

食の予報で、なぜ重要なのか

太陽と月の運動を一様な時間尺度で計算しても、影が地表のどこに来るかには、その瞬間の地球の向きが必要です。ΔTは、この二つを結び付けます。

ΔTの誤差は、影の経路や地点別の接触時刻へ影響します。特に古い時代の食や、遠い未来の精密な経路では、地球の回転の不確かさが重要です。接触を秒まで求める計算と、実際の予報のすべての不確かさが1秒以内であることは、同じ意味ではありません。

Apphemerideで確かめるには

Apphemerideで確かめるには

ユリウス日とΔTは、利用者が手作業で入力・換算するのではなく、アプリ内部の計算に使われます。メーウスのアルゴリズム、惑星のVSOP87、月のELP2000-82とともに、適切な時間の扱いが位置の計算を支えます。

食にはベッセル要素とΔTを使い、日食のC1〜C4、地点別の最大と継続時間、月食のP1、U1〜U4、P4を表示します。水星・金星の太陽面通過の接触も、1秒未満の精度まで計算します。補正のカードには章動、光行差、歳差などが表示されます。

タイムトラベルは完全版の機能です。太陽と月の基本的な出入りデータは無料で確認できます。時刻と場所の機能をご覧ください。

Apphemerideの土星の補正カード。黄経と傾きの章動、光行差、大気差、視差を表示。
精密な位置は、複数の補正と時間尺度の適切な扱いで求められます。ΔTは内部の計算で使われます。

よくある質問

ユリウス日とは何ですか?

一定の起点から日を連続した数で表す仕組みです。小数部分で一日の中の時刻も表します。J2000.0は、TTで表すJD 2451545.0に対応します。正確な利用には時間尺度も必要です。

なぜ正午から始まりますか?

夜の観測を暦の真夜中で区切らない歴史的な考え方によります。ただし世界中の地方時へ合わせた境界ではありません。修正ユリウス日MJDは真夜中を境界にします。

ΔTとは何ですか?

地球時TTと、地球の回転を基準とするUT1との差です。地球の自転が一様でないため、時代とともに変わります。固定した現在値を長期間使い続ける量ではありません。

なぜ日食の計算にΔTが必要ですか?

太陽・月の位置を計算する一様な時刻と、影を受ける地球の向きを結び付けるためです。ΔTの不確かさは、地表の経路と地点別の接触時刻にも影響します。

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