座標と時刻
赤経と赤緯とは? 恒星の位置を読むための二つの座標
まず知っておきたいこと
赤経と赤緯は、天球上の経度と緯度に似た座標です。赤緯は天の赤道から南北へ角度で、赤経は春分点から東へ、通常は時間単位で測ります。Apphemerideでは、対象日付の座標と時角を確認でき、太陽・月・惑星ではJ2000とJNowも比較できます。
天球に描く、経線と緯線
地球の赤道面と自転軸を天球まで延ばすと、天の赤道と、天の北極・南極になります。それを基準に、地球儀の経緯度のような網を考えます。
**赤緯〈δ〉**は北を正、南を負として、度・分角・秒角で表します。北極が+90°、赤道が0°、南極が−90°です。北極星は約+89.3°、シリウスは約−16.7°ですが、精密な値には基準と日付の指定が必要です。
**赤経〈α、RA〉**は春分点から東へ測ります。原点はグリニッジではありません。春分点は、太陽が3月に天の赤道を南から北へ通る点です。赤経と黄経の原点として使われます。
角度を時間で表す理由
天球の360°を24時間に対応させると、地球の自転と座標を結び付けやすくなります。
| 赤経の単位 | 角度としての値 |
|---|---|
| 1時間〈h〉 | 15° |
| 1分〈min〉 | 15′ |
| 1秒〈s〉 | 15″ |
同じ基準の赤経が1時間違う二つの恒星は、おおよそ1恒星時間違って上方子午線を通ります。ここでの1時間は、通常の時計の太陽時と完全に同じ長さではありません。
赤経の「分」と、角度の「分角」を混同しないようにします。また、赤経差だけでは、二星の空での距離は決まりません。経線は天の極で集まるため、同じ赤経差でも高い赤緯では実際の角距離が小さくなります。赤緯の違いも合わせて考えます。
カタログの数値を、観測地の空へ結び付ける
赤経・赤緯だけでは、その瞬間に観測地からどちらに見えるかはわかりません。必要になるのが地方恒星時と観測地の緯度です。
同じ基準の赤経と地方恒星時を比較し、両者が一致すると、天体は上方子午線通過の位置になります。その前後の距離を示すのが**時角**です。通常の西向きを正とする定義なら、正の時角は通過後、負は通過前の側です。
時角0だから「必ず南」とは限りません。天体の赤緯と観測地の緯度で、南側、北側、場合によっては天頂を通ります。日本でも北極に近い天体が北側で最高高度になる例があるため、上方子午線通過をすべて南中と同義にしないことが大切です。
恒星の座標も、完全には固定されない
恒星は宇宙空間を動き、固有運動として位置が変わります。地軸の歳差や章動は、座標軸と春分点の方向を変えます。光行差なども、観測で見る視位置へ影響します。
位置の元期と、軸の向きを示す分点や基準系を区別しましょう。J2000と書かれていても、それが恒星の位置の元期なのか、座標の向きの基準なのかは、資料の定義を読む必要があります。惑星や月の赤経・赤緯は、さらに実際の軌道運動によって変わります。
Apphemerideで確かめるには
Apphemerideで確かめるには
赤道座標のカードに、赤経、赤緯、時角を表示します。太陽、月、惑星ではJ2000とJNowを比較でき、恒星は固有運動や歳差などを反映した対象日付の位置を確認できます。地方恒星時は位置情報バー、出入り・子午線通過の時刻は各天体のカードで読めます。
星図の赤道グリッドは、日付の真の座標系を使い、天体位置と秒角単位で対応します。太陽と月の基本データカードは無料です。惑星、恒星、星図のレイヤーは完全版で利用できます。赤道座標を含む天体ページをご覧ください。
よくある質問
赤経の時間と角度は、どう対応しますか?
24時間が360°なので、1時間は15°、1分は15′、1秒は15″です。時間表記は角度の単位の一つです。同じ赤経差でも、天の極付近では球面上の距離が小さくなります。
赤緯が負なのは、どういう意味ですか?
天の赤道より南側にあることです。シリウスの約−16.7°が一例です。見えるか、どこまで高くなるかは観測地点の緯度によって決まり、負の値だから南半球からしか見えないわけではありません。
赤経を時間単位で測るのはなぜですか?
地球の自転と直接結び付け、子午線通過のタイミングを考えやすくするためです。地方恒星時と同じ赤経の天体が、上方子午線を通ります。比較では、両方の基準系も合わせます。
春分点とは何ですか?
天の赤道と黄道の交点のうち、太陽が3月に南から北へ通る側です。赤経と黄経の原点で、歳差により背景の恒星に対して移動します。現在の星座区分ではうお座の領域にあります。